今回は三角関数の基本的な問題を用いて定義の大切さを見ていきましょう。
私が高校生に一回は必ず出題する問題です。
必要な知識は三角比、三角関数の知識です。
弧度法をまだ学んでいない人は $0$ を $0^\circ$ , $2\pi$ を $360^\circ$ , $\frac{\pi}{4}$ を $45^\circ$ , $\frac{2}{3}\pi$ を $120^\circ$ と読み替えてください。
以下の問題を解け。ただし $ 0 \leqq \theta < 2 \pi $ とする。
(1) $ \sin \theta = \frac{1}{2} $ を解け。
(2) $ \cos \theta = \frac{1}{2} $ を解け。
(3) $ \sin \theta + \cos \theta = 1 $ を解け。
(4) $ \theta $ についての方程式 $ \sin \theta \ – \ a\cos \theta = -1 $ の解が $ \frac{\pi}{4} \leqq \theta \leqq \frac{2}{3}\pi $ に存在するような $ a $ の値の範囲を求めよ。
問題を解く前に定義の確認から
今回の問題は三角関数の定義さえ理解していれば簡単に解ける問題です。ですが(4)に関しては定義を軽視している勉強をしてきた人にとっては解きづらい問題でしょう。
では定義について確認していきましょう。1番最初に習ったのはきっと以下の直角三角形による三角比の定義でしょう。
定義(三角比)
下図の直角三角形において三角比を以下のように定義する。
$ \sin \theta = \frac{b}{a} $ , $ \cos \theta =\frac{c}{a} $ , $ \tan \theta = \frac{b}{c} $

この定義だと $ 0 < \theta < \frac{\pi}{2} $ (度数法で書くなら $ 0^\circ < \theta < 90^\circ $) でしか扱えないですね。これを次のように拡張したのが三角関数の定義です。
定義(三角関数)
任意の実数 $\theta$ に対して、$x$ 軸の正の部分を原点中心に反時計回りに $\theta$ だけ回転させた版直線と単位円(原点中心の半径 $1$ の円)の交点の座標を $(\cos\theta,\sin\theta)$ とし、$\tan\theta=\frac{\sin\theta}{\cos\theta}$ $(\cos\theta\ne0)$ と定義する。

$\text{P}$ が第一象限にあるときに直角三角形による三角比の定義と矛盾しないように座標を使って三角関数を定義し直すことで、$\theta$ を任意の実数に取れるように拡張できていますね。
単位円上の点の $x$ 座標が $\cos\theta$ , $y$ 座標が $\sin\theta$ , 直線 $\text{OP}$ の傾きが $\tan\theta$ となります。
では問題を解く準備ができました。解いていきましょう。
解答 , 解説
(1)定義から、単位円上で $y$ 座標が $\frac{1}{2}$ になるような点を考えればいい。
下図から $\theta=\frac{\pi}{6} \ , \ \frac{5}{6}\pi$

(2)定義から単位円上で $x$ 座標が $\frac{1}{2}$ になるような点を考えればよい。
下図から $\theta=\frac{\pi}{5} \ , \ \frac{5}{3}\pi$

(3)合成を用いて解く人が多いですが合成を使う必要性もないです。
三角関数の定義から単位円と $y+x=1$ の交点の座標 $(\cos\theta,\sin\theta)$ が方程式を満たす。
交点の座標は $(1,0) \ , \ (0,1)$ なので求める解は$\theta=0 \ , \ \frac{\pi}{2}$

(4)合成を用いて解こうとするとめんどくさいことになります。(3)と同様に定義から考えます。単位円と $y+ax=-1$ の交点の座標 $(\cos\theta,\sin\theta)$ が方程式を満たす。交点が下図の青線部上に存在するとき、方程式の解は $ \frac{\pi}{4} \leqq \theta \leqq \frac{2}{3}\pi $ に存在する。
よって求める $a$ の値の範囲は $a \geqq 1+\sqrt{2}$ , $a \leqq -2-\sqrt{3}$

今回の問題で使ったのは三角関数の定義です。数学の勉強は基本概念を理解することが大切です。定義や、定理、証明を大切にしましょう。解き方を知らないと難しい問題もあるでしょう。その時もHowを学ぶという意識よりWhy、何故その方法で解けるのかということを意識して学習をしてもらいたいと思います。基本事項を理解し、正しいフォームで経験を積み、また理解を深めていく。この繰り返しが数学の勉強です。

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